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インタビュー

2025.06.09

いつでも、どこにいても、必ず補給ができる世界の補食「バナナとパイナップル」

浅島 麻希子 アスリートフードマイスター 浅島 麻希子

カヌー競技に必要な身体づくり

アスリートフードマイスター浅島麻希子さんの「アスリートとスポーツをする人のためのバナナとパイナップルの活用方法」第2弾。今回は、浅島さんが実際に食と栄養のアドバイスでサポートしている、パリオリンピック出場・カヌー競技日本代表の田中雄己選手に、パリオリンピックまでの身体づくりや海外遠征でのバナナとパイナップルの活用方法を伺ってみました。

カヌーは、1936年ベルリンオリンピックから正式種目となった競技。田中選手の競技は、「カヌースラローム」。選手が急流を巧みに操り、ゲートを通過していく種目です。ゲートを通過する順番や方向が指定されており、その順番を間違えたり、ゲートに触れたりするとペナルティタイムが加算されるため、スピードはもちろん、正確さも求められます。選手には、持久力と瞬発力、そして水の流れを読みカヌーを乗りこなすセンスと技術、しなやかな身体と体幹が求められます。
試合で最高のパフォーマンスを発揮するためには、日々の体調、練習内容と合わせて「いつ・なにを・どのように食べるか」が大切です。そのなかで、いつでも、どこにいても手軽に食べられるバナナは、毎日のコンディションを整えるために、慣れない海外では必須となる補食の一つです。

パリオリンピック選手村では、バナナとパイナップルは争奪戦!

浅島

2025年パリオリンピックでカヌースラローム競技に出場された田中雄己選手をお招きし、競技の魅力やコンディション維持のための食事の考え方やバナナとパイナップルの活用方法について伺っていきます。よろしくお願いします。
まずは、パリオリンピックお疲れ様でした。初出場でしたが、いかがでしたか?

田中選手

まず、オリンピック開催にあたって、会場の設営段階をはじめ、いろんな係りの方が本当にたくさん携わって準備しているところを見て、改めて「オリンピックが世界一の大会である由縁」を強く感じました。

浅島

「まさに肌で感じた」シーンだったのでしょうね。素晴らしい経験をされたのですね。 
そのパリで開催されたオリンピックですが、食事情は、いかがでしたか? やはり、パリの選手村にも、バナナは必ず大量に置いてあったりするんですか?

田中選手

もちろんありました。ありましたけど、バナナは僕だけじゃなくて、世界中のどのアスリートの方も、やっぱりすごい食べるんですよ! たぶん普段のトレーニングでも、よく摂取するものなので、日中に空いてるレストランでも時間によってはバナナがすぐ無くなる時間があったんで、早めにレストランに行って取っておいて、部屋にストックしておくとかをやってましたね。

浅島

そうなんですね! すごい人気ですね(笑)。

田中選手

人気でしたね、バナナは。それを見越してたぶんたくさん置いてあるはずなんですけど、それでもやっぱり足りなくなるんですよね。アスリートにとっては、トレーニング中でも試合中でも、手軽に栄養補給ができるのがバナナなので、シチュエーションにかかわらずあってほしいものの一つですね。

1)試合の際のバナナとパイナップルの摂取方法

浅島

並んでいるバナナやパイナップルを補食にする際、田中選手は、いつもどのように摂取しているのですか?

田中選手

僕は、試合前はいつもバナナをそのまま食べるだけじゃなくて、蜂蜜をかけて食べています。
よりエネルギーを摂取できるということを以前、浅島さんから教わりましたので(笑)。常にそれを守っていて、パリでも実践していました。
また、ちょっと疲れたときはカットパイナップルを買って食べてましたね。

浅島

ちゃんと覚えていてくれたのですね。うれしいです。
私は、田中選手の遠征先のオーストラリアなどで暑い日はパイナップルとバナナのジェラートを作ってたんですけど、覚えてますか? コップにナッツを入れて…。パリにもありましたか?

田中選手

あーありましたね! 思い出しました!
でも僕、お腹壊しやすくて…。実は冷たい食べものが苦手であまり食べられないんです。

浅島

そうでした! 私も思い出しました。
力強いオールさばきとは裏腹に、内臓はセンシティブなんですよね。食べられないということは、ストレスになっていましたか?

2)田中雄己選手の身体づくりの課題

田中選手

僕、もともと胃はあまり強くないんですよね。食べれる量もあまり多くないんです。
「競技はめちゃくちゃ好きなのに、ここだけ(食事を増やすこと)は、どうしてもクリアできないな~」といつも思っていて。それを一度の食事量でなく、補食を活用して回数で量をカバーできるようになってからは、メンタル的にだいぶ救われました。

本当に最初は1回の食事量でカバーしようと思っていたから、1食で大量に食べようとしてたんですけど、そのせいで食べる時間がむちゃくちゃかかっちゃって。それはちょっと良くないなと思って、そこからトレーニング後に絶対何か摂取するような形で、補食をすごい増やしました。

浅島

最初に出会ったときも、「食べなきゃいけない」ということで、ご飯を一杯食べたあとに炊飯器からもう一杯よそうかどうかすごい悩んで、よそったはいいけれど食べ切るのにすごい苦労してたのを覚えています。
もちろん朝昼晩3回の食事も大事なんですけど、私は補食を入れた1日の摂取量で考えることが大事だということをずっと伝えてきたので、それがちゃんと習慣化できていて嬉しいです。

3)量を食べることが苦手な選手には、補食で一工夫

田中選手

はい、「僕流」というより本当に「浅島イズム」なんですけど、回数を分けて補食を取ることで体重減少をカバーするっていうのは、指導いただいてからずっと心がけてますね。

浅島

2022年、2023年のドイツ遠征帯同で、「疲れた」って言って帰ってきて、最初は楽しそうに食べてるんですけど、途中から言葉がなくなり辛そうに食べている姿を見て、「(食べる)回数を増やした方がいいんじゃない?」って声をかけた記憶があります。田中選手のことは高校生から知っていたのですが、初めての長期帯同での食事指導だったので、一生懸命食べている田中選手に「もうやめていいよ」とは言えなくて。様子を見ながら「こんな感じの食べ方で…」と食べ方の工夫をそっと伝える感じでしたね(笑)。

田中選手

いや~懐かしいですね。最初にお会いした頃は高校生の時で、年に1回ぐらい、毎回すごい短期でした。その後、海外にも同行してもらってから、「こういうものも、こういう方法も」といった感じでいろいろ食材や食べ方について教えてもらって、すごい知識が深まりました。どれもおいしかったです。

浅島

私がよく言っていたのは、「みんなカラダが違うので、同じものを食べても吸収率が全然違うことがある」ということです。
大事なことは、たくさんの情報からできることを選択し、日々の食事で試してみて、自分の身体やトレーニングに合うものを見つけること。これができる選手が一番強いのかなと思っています。

田中選手

そうですね。去年のオーストラリア遠征くらいから、すごくいろんなことをやってきたので、実を結んでいると思います。

浅島

そうですね。田中選手と久しぶりにお会いしましたが、本当にしっかりとした良い体つきになってきましたよね。以前は、もっと華奢でしたよね。

【アスリートたちのお気に入りの補食の食べ方】

浅島

海外遠征には、過去何度も帯同させていただきましたが、いつも補食には「バナナ」。
おにぎりの日以外は、ほぼバナナやパイナップルを用意してましたね(笑)。
「今日もまたバナナ?」っていうぐらい補食に出てきたと思いますが、味などに飽きたりしませんでしたか?

田中選手

浅島さんは、いつも補食の出し方をすごく工夫して、いろいろな形で出してくれたので、飽きるということは全くなかったです。
浅島さんがいない遠征でも「こういうふうに出してくれてたな」って思い出しながら、自分たちでも積極的に作ってみたりしています。

1)シナモンとレモンが隠し味 バナナサンド

浅島

選手の皆さんが実践してみて「これが一番良かった」というバナナとパイナップルの食べ方はありましたか?

田中選手

バナナと蜂蜜のセットっていうのは手軽だし、エネルギーとかもしっかり補充できるので、これは僕だけじゃなくみんな気に入ってましたね。(遠征では)なにより携帯しやすいのが一番良かったです。
それと、バナナのサンドイッチ!

浅島

シナモンとレモンをまぶしたバナナのサンドイッチ?

田中選手

そう、隠し味がシナモンとレモンの。あれがすごい美味しかったのを思い出しました。

浅島

あれはバナナを焼いて、シナモンとレモンと蜂蜜かシュガーか、その時の練習の内容によって、味は少し変えていたと思います。補食はおにぎりが多いので、時にはパンを食べて、気分転換してほしかったんですよね。

2)補食にパイナップルを使うタイミング

パイナップルは糖質と水分とたんぱく質の消化酵素

浅島

去年のオーストラリア遠征の時から「パインスティック」がよく登場したと思います。
パイナップルは糖質と水分とたんぱく質の消化酵素があるので、疲れ切った胃腸を、夕食を食べる時に癒してほしいという思いでスティックにして出していました。パイナップルの役割は伝えてたつもりですが、普段の練習や試合でも取り入れていますか?

田中選手

はい、してますね!
パイナップルは、スーパーでカットされてるものが売られていて、手軽で食べやすいので結構心がけて取ってますね。体は集中していると気づかないうちに疲弊していたりするので、ハードなトレーニングの後などはすぐ食べるようにしてるんです。

【食事のアドバイスをもらうようになって変わったこと】

浅島

食事指導をして「以前よりも変わったな~」って思うことはありますか?

田中選手

2023年から長期で指導してもらうようになってから、ハードな練習をしてもあんまり体重が減らなくなりました。

浅島

たしかに! いつも体重計を日本から持ち込んで選手皆に量ってもらってたんですけど、最初の帯同の際は減っていた体重が、2023年の帯同の際はほとんど減らなかったですよね。
田中選手の場合は、一度にたくさん食べられないので、一口あたりの栄養密度が高いもの、たとえば、もち米を混ぜたおむすびなどを実は内緒で提供していました(笑)。腸も弱いので、一人だけ甘酒にしたり、バナナをジュースにしたり工夫して補食に出してましたね。

田中選手

そういう食事のアドバイスを改めて思い起こすと、普段自炊している時も、もう少しレパートリー増やしてがんばらないと! と改めて思いますね。

浅島

これからオーストラリア遠征が始まりますしね。今回の遠征での身体づくりのポイントはありますか?

田中選手

オーストラリアに向けて、自分が一番ポイントとしているのは「体格を激変させないように、でも絶対に体重は落とさず、しなやかで出力を上げる筋力をつける」ということです。この微妙な調整にもこだわりながら、身体づくりをしています。

浅島

先ほどトレーニングルームでトレーナーさんがおっしゃっていましたが、重量と腕力で攻める海外選手がいるなかで、田中選手は「センス」でカヌーを乗りこなし、細身マッチョなその身体で実績を出している、と。
テクニックがある選手ゆえに、比較的軽量で細身の体型が逆に強みになっているようですね。

田中選手

僕はリーチ(腕)が長いんですけど、体重はそこまで重くないという体形が自分の強みかなと思っています。やっぱり乗り物のスポーツなので、そのあたりの身体バランスが一番重要ではあるんですよね。
どんな体格で勝負してもいい競技なんですけど、個人的には今のフィジカルバランスが、すごく気に入っています。この重量で今の出力が出せるというところが。コア(芯)をもうちょっとしっかり固めて、身体バランスを崩さないように稼働域を広げ、出力だけは上げていきたいです。

【海外遠征先でチャレンジしたい食事と補食】 

少ない量でも良質なたんぱく質やエネルギーのチャージができるもの。

浅島

そうですか、なるほど。
そのためには「食べるタイミングと食べる量」は、引き続きしっかり調整していく必要がありますね。
出力UPを目指す身体づくりには、田中選手の場合、大豆製品がアレルギーで食べられない分、お肉と魚、卵、ヨーグルトなどの食材も上手に使って良質なたんぱく質を摂取する工夫が必要となりますね。

田中選手

そうですね。自分も今まで「バナナと蜂蜜」の1パターンで戦ってるんで、少しレパートリーを増やしたいと思います。
他におすすめのものはありますか?

浅島

そうですね。田中選手は量が食べられないタイプなので、
ロンドン遠征の時に出していた「ピーナッツバター&バナナ」の組み合わせなど、ハイカロリーなものを長時間の練習の前や、運動強度の高いトレーニングをするときなどに、取り入れると良いと思いますね。
それと、どうしてもコンビニで買わないといけないときなどは、おにぎりよりおこわや赤飯などをチョイスいただけると、同じ大きさでも摂取密度が上がるので良いと思います。
バナナを捕食にする場合、田中選手は「冷たいバナナ」は苦手ですから、焼いてもらってストックするとか、「味変」サンドイッチも、おすすめですね。

田中選手

ありがとうございます。さっそく今回の遠征先で試してみたいと思います。
あと、バナナを焼くときの工夫をもう一度教えてくれますか?

浅島

フライパンにバナナスライスを直接入れて、バターで焼くとコクが出ます。
あとは、全粒粉のパンの上にバナナをスライスしたものを乗せて、そこにシュガーやシナモンをかけて、トーストで焼くだけでも美味しいです。それをラップでキャンディのようにくるくる巻くと、持ち出しやすいし食べやすいですよ。

田中選手

なるほど、ありがとうございます。レパートリーが増やせそうです。すぐにやってみます。

浅島

はい、挑戦してみてください。「作ったよ」ってたまに連絡をもらったりすると、選手たちの成長が見えてこちらの励みにもなるんです!

【自分の身体は、食べたもので形成されている】

浅島

本日は、出会った頃の懐かしいお話も含め、いろいろと伺ってきましたが、「スポーツと食事の関係性」について田中選手が今思うことは何かありますか?

田中選手

普段スポーツしていると常に身体づくりを意識するとは思うんですけど、よく浅島さんが言っているとおり「自分の身体は、食べたものでしか形成されない」です。日頃の自炊やこれからの合宿でも、ちゃんと自分の身体のためにいいものや必要なものを選んで食べることを意識して、身体づくりを食事から見直していきたいと思います。

2028年ロサンゼルスオリンピックに向けて

浅島

では、最後に田中選手から「未来のカヌー選手」のために、メッセージをお願いいたします。

田中選手

はい。
まず、僕の話を少しすると、僕はジュニア時代というか高校生の頃は、実はあまり目標を持たずに「ただ、好きだから。楽しいから」っていう一心で、競技にのめり込み努力してたんですね。
ジュニア選手の時は、いろんな人がサポートしてくれると思うんですけど、その時間は有限です。
たくさんの人に支えてもらいながらスポーツに打ち込める時間は限りのあるものだと思うので、今思うとその時間をもっと大切にして努力すればよかったなという思いがあります。  
これからの人たちには、スポーツに打ち込める時間やたくさんの人に支えてもらえる環境の大事さを噛みしめて、努力してもらえると嬉しいです。頑張ってください!

浅島

素敵なメッセージをありがとうございました。オーストラリアの合宿も充実したものになると良いですね。
今日は、カヌー競技の田中雄己選手にお話を伺いました。 
引き続き、今後のご活躍を楽しみに応援していきたいと思います。

浅島 麻希子

浅島 麻希子 Asajima Makiko

美味しく楽しい食事の時間から、勝てる身体(心)を目指すためのきっかけ作りを提供中。
「美味しい、簡単、栄養満点」をモットーにサポートされる方には作るスイッチを!選手には食べるスイッチを!
サッカーをする息子を「食」でサポートしたいと思い、資格を取得。
日々の食事で実践したところ、体調を崩すことも、怪我をすることもなくなり、「スポーツ×食」は大きな関わりをもっていると確信しています。
スポーツをされている方やスポーツをされてる方をサポートされてる方を対象に講座を開催し、「アスリートフード」の大切さ、「いつ・なにを・どのように食べるか」の重要性、「食べるトレーニング」の必要性を伝えています。
しかし、正しい知識を正しく伝えるだけでは食生活は変わりません。
実際に楽しみながら取り入れてもらうにはどうしたらいいか。そこまで伝えて提案していくのがマイスターの使命だと思っています。

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美味しく楽しい食事の時間から、勝てる身体(心)を目指すためのきっかけ作りを提供中。
「美味しい、簡単、栄養満点」をモットーにサポートされる方には作るスイッチを!選手には食べるスイッチを!
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日々の食事で実践したところ、体調を崩すことも、怪我をすることもなくなり、「スポーツ×食」は大きな関わりをもっていると確信しています。
スポーツをされている方やスポーツをされてる方をサポートされてる方を対象に講座を開催し、「アスリートフード」の大切さ、「いつ・なにを・どのように食べるか」の重要性、「食べるトレーニング」の必要性を伝えています。
しかし、正しい知識を正しく伝えるだけでは食生活は変わりません。
実際に楽しみながら取り入れてもらうにはどうしたらいいか。そこまで伝えて提案していくのがマイスターの使命だと思っています。

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