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歴史・世界の情報

2024.02.08

話題の台湾パイナップルの魅力 歴史と系譜、品種の発展を辿る

上原 賢祐 熱帯果樹系youtuber 上原 賢祐

話題の台湾パイナップルの魅力 歴史と系譜、品種の発展を辿る

最近、スーパーでも台湾産のパイナップルをよく見かけるようになりました。台湾はパイナップル大国です。
かつては缶詰の輸出が盛んでしたが、現在はとても美味しい生食用の品種がたくさんあります。そんな台湾産パイナップルの魅力を知っていただきたいです。

台湾パイナップルの特徴と品種

台湾パイナップルの主な特徴と品種の紹介

台湾パイナップルは、高い糖度やほのかな酸味、柔らかくジューシーな肉質、黄金色の果肉などの特徴があります。
また、農業技術も高く多くの品種を作出しており、主要な品種には「ゴールデンダイアモンド」または「金鑚パイン」と呼ばれる「台農17号」や、「ミルキーパイン」と呼ばれる「台農20号」などがあります。
最近では、2012年にリリースされた「台農22号(ハニーフレグランス)」や2018年にリリースされた「台農23号(マンゴーパイン)」も注目されている品種です。

品種ごとの特徴や味の違い

「台農17号」は台湾の主力品種であり、公表されている糖度のデータは14%程度と、そこまで高くはありませんが、酸度が0.28%と低いこと、ジューシーな果肉、円筒形の綺麗な果形で、最も人気があります。また、他の品種に比べ高収量であることや、果物の品質が安定しやすいなどの栽培上のメリットもあります。台農17号の次に人気がある「台農20号」は、果肉が白くとても香りが良いといった特徴があります。また「台農22号」は「台農17号」よりも糖度が2~3%高く、果肉の質感も緻密で、皮割れなども少なく普及が期待されている品種です。
最近リリースされた「台農23号」は、夏の暑さに強く、糖度も高く、より高品質であると言われています。また貯蔵性も良く、さらにマンゴーのような香りがあり人気があります。


台湾パイナップルの起源と栽培の歴史

台湾パイナップルの起源と初期の栽培の概要

パイナップルは、もともと南米原産ですが、16世紀〜17世紀にかけてポルトガル人らによって、世界中に広がり、1650年には台湾で栽培されていたと報告されています。

台湾では、全島的に古来よりある在来種(紅皮種、無刺紅皮種、黄皮種、烏皮種等)が栽培されていましたが、1900年代前半から戦前は、ハワイから導入されたスムース・カイエン種やボルネオから導入されたサワラク種(純熱帯の低湿地で固定したスムース・カイエンの変種)といった缶詰原料向きの品種が作られていました。


台湾におけるパイナップルの栽培の変遷と発展

戦前、パイナップルの缶詰生産高では、ハワイ、マレーシアに次いで第3位の台湾でしたが、戦争によって産地や工場は爆撃され大きなダメージをおいました。
戦後は復旧につとめ、さらに、台湾政府はパイナップル栽培の近代化を推進し、品質向上と生産効率の向上に注力した結果、多くの品種改良や栽培技術の進歩が進み、生産量が大幅に増加しています。

台湾の気候や土壌条件がパイナップルの品質に与える影響

気候のうえでは全般的にパイナップル栽培の好適地であると言われていますが、特に中西部の彰化市から嘉義市、南西部の台南県・高雄県および南東部の台東県で栽培がなされています。北部の方では、多少冷え込みがあるため、10月下旬頃から生育が緩慢となり、一時は生育が止まるところもあります。したがって中南部での栽培が盛んです。
台湾では、丘陵地一帯にパイナップルが植えられていることが多く、そういった場所では排水が良好で育ちが良いです。パイナップルは他の栽培作物に比べると病虫害の被害が少なく、乾燥や暴風雨にも強いという特徴があるため、台湾などの島国でも管理がしやすい作物です。一時は萎凋病の被害で困った時期もありましたが、苗の燻蒸消毒や、排水良好な畑地を選択することで防ぐことが可能です。

台湾産パイナップルの利用と製品開発

台湾産パイナップルの利用法や伝統的な料理への活用法

パイナップルの用途は、生果や缶詰だけではなく、葉の長い強靭な繊維(維管束)を使ってパイン布を作ることができます。台湾ではかつて、パイン葉を利用した織物が作られていましたが、繊維が取れる歩留まりが3%と低く、さらに専用の採織機械がなかったことにより衰退してしまいました。

ただ果実は、台湾では生食のほか、様々な料理に使用されています。特に有名なのが、パイナップルケーキです。これは台湾の伝統的なお菓子で、お土産としても根強い人気があり、経済的にも重要なお菓子になっています。また、パイナップルは煮物やサラダ、飲料など、多様な料理に応用されています。

パイナップルジュースや加工品など、台湾産パイナップルを活用した製品の紹介

パイナップルの加工品としては、パイナップルジュース、パイナップル缶詰、ドライフルーツ、ジャムなどがあります。これらの製品は、台湾国内だけでなく、海外市場にも輸出されており、台湾の農業と食品産業の重要な部分を占めています。また、中国が2021年3月に台湾パイナップルの輸入を禁止して以来、台湾国内では伝統的なケーキを超えたビールやサンドイッチ、巨大ビスケットなどを開発し、多くの国内企業で作られています。


台湾産パイナップルの現状と将来の展望

台湾産パイナップルの生産量や輸出動向

台湾のパイナップル生産は近年安定しており、中国の輸入禁止を受けてはいるものの、主に日本、香港、シンガポールなどアジア諸国への輸出が行われています。中国への禁輸前の2020年には日本向けは約2千トン、中国への輸入禁止を受け、日本向けは約1万8千トン、2022年は約1万7500トンと急増しており、特に日本市場では、台湾パイナップルの味質の良さと品質が評価されています。
これからもさらに、多くの台農シリーズのパイナップルが手軽に食べられるようになるかもしれません。

台湾産パイナップルの対中・対日貿易や需要に関する見通し

現在中国は、台湾産パイナップルの無期限の輸入停止措置を取っています。他にも、2021年9月20日から台湾産果物のバンレイシとレンブ、2022年6月13日からは台湾産高級魚のハタの輸入を一時停止しています。その後も、2022年8月3日から台湾産かんきつ類、タチウオ、冷凍アジの輸入を一時停止するなどの措置を取っており、対中の貿易関係はあまり良好な状況ではなさそうです。一方で、日本側は台湾のパイナップルをこれからも積極的に買い支えていくとみられます。また、台農13号は、ウィンターハニーと呼ばれており、冬の時期でも収穫ができ、糖度も18%と美味しい品種です。こういったものが日本に入ってくると、一年中パイナップルが食べられるようになる可能性も出てきます。

まとめ

台湾の国土は九州と同じくらいですが、パイナップルなどの熱帯果樹研究は盛んです。
風土もよく、栽培がしやすい環境です。現在は多くの品種の作出もされていて、魅力的なものが多いです。これから、台湾に旅行にいかれる方、日本に輸入された台湾産パインを見かけた方、ぜひ、パイナップルを手にとってその味を楽しんでいただけたらと思います。

上原 賢祐

上原 賢祐 UEHARA KENYU

沖縄県でアボカドやバナナなど、他多数の熱帯果樹の栽培をしている。
同時に、それらの栽培方法や果樹の特徴などをyoutubeやブログなどにて情報発信をしている。

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沖縄県でアボカドやバナナなど、他多数の熱帯果樹の栽培をしている。
同時に、それらの栽培方法や果樹の特徴などをyoutubeやブログなどにて情報発信をしている。

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